睡眠時無呼吸症候群(SAS)
―― 当院で検査からCPAP治療まで
一貫して対応できるようになりました
「睡眠が改善しないことには、よくなるものもよくならない」
診療の中で、担当医として「まずは睡眠の質を高めたい」と考える患者さんは数多くいらっしゃいます。
気分の落ち込み、不安、疲れやすさ、集中力の低下。こうした不調に対して治療を進める中で、「睡眠が改善しないことには、よくなるものもよくならない」と感じるケースが少なくありません。
睡眠は、心身のコンディションを支える大切な基盤です。
そして、そのような患者さんの中には、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)が隠れていることがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に、呼吸が止まる(無呼吸)、あるいは浅くなる(低呼吸)状態を繰り返す病気です。多くは、睡眠中に喉の空気の通り道が狭くなったり、塞がったりすることで起こります。
呼吸が妨げられると、脳が一時的に覚醒反応を起こして呼吸を再開させます。ご本人は気づかないまま、睡眠が細切れになり、十分な時間眠っているつもりでも、睡眠の質が下がってしまいます。
肥満の方に多い病気ですが、顎の形や喉の構造、加齢なども関係するため、痩せている方や女性でも睡眠時無呼吸症候群になることがあります。
こんなことはありませんか?
- ・大きないびきをかくと言われる
- ・寝ているときに、呼吸が止まっていると指摘されたことがある
- ・朝起きたときに、頭が重い、口が渇いている
- ・十分寝たはずなのに、日中の眠気や疲れが強い
- ・集中力が続かない、物忘れが増えた
- ・夜中に何度もトイレに起きる
- ・気分の落ち込みや、やる気の低下が続く
こうした症状があっても、必ずしも睡眠時無呼吸症候群とは限りません。また、睡眠時無呼吸症候群があっても、日中の眠気などの自覚症状が目立たない方もいらっしゃいます。
こころの不調との関係
睡眠時無呼吸症候群があると、日中の眠気、疲労感、集中力の低下、気分の落ち込みなどが現れることがあります。これらは、うつ状態や不眠のときの症状とよく似ています。
うつ病などの精神疾患と睡眠時無呼吸症候群が併存することもあります。また、睡眠薬の種類によっては、睡眠中の呼吸に影響することがあるため、薬を選ぶうえでも、睡眠時無呼吸症候群の有無は重要な情報になります。
もちろん、服用中の薬を自己判断で中止する必要はありません。気になる場合には、診察の際にご相談ください。
さらに、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心臓や血管の病気、糖尿病などとも関係しています。日中の強い眠気が、運転中や仕事中の事故につながることもあります。
心身の不調を精神的な問題だけで説明しようとせず、睡眠を妨げている身体的な原因がないか、という視点を持つことも大切です。
「検査に行く余裕がない」という壁
診療の中で睡眠時無呼吸症候群を疑い、検査をお勧めしても、実際には受けられないままになってしまう患者さんが少なくありませんでした。
別の医療機関を探し、予約を取り、時間をつくって出かける。心身の不調があるときには、時間的にも、体力的にも、気持ちの上でも、そのゆとりがないことが多いのです。
検査を受けることが望ましいとわかっていても、検査を受ける余裕がない。
私たちは、こうした患者さんの負担をできるだけ小さくすることも、医療の大切な役割だと考えています。
検査からCPAP治療まで、当院で一貫して対応できるようになりました
そこで、このたびGOOD CONDITION CLINICでは、睡眠時無呼吸症候群について、簡易検査、在宅で行うPSG検査、CPAP機器の処方・治療管理まで、一つの医療機関で対応できる体制を整えました。
① 簡易検査
小型の検査機器を装着して眠り、睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素濃度などを記録する検査です。
入院の必要はなく、ご自宅で、普段の睡眠環境のまま受けることができます。
② 在宅PSG検査(終夜睡眠ポリグラフィー検査)
PSG検査は、睡眠中の呼吸状態に加えて、脳波などを記録し、睡眠の状態をより詳しく調べる検査です。
従来は医療機関に宿泊して行うことが一般的でしたが、当院では、在宅で実施できるPSG検査にも対応しています。
簡易検査だけでは十分に判断できない場合などに、必要に応じて実施します。
③ CPAP(持続陽圧呼吸療法)
検査の結果、CPAP治療が適切と判断された場合には、当院で機器の処方と、その後の治療管理を行うことができます。
CPAPは、睡眠中に鼻などに装着したマスクから空気を送り込み、気道が塞がらないようにする治療法です。
睡眠中の無呼吸や低呼吸を減らし、日中の眠気や疲労感などの改善が期待できます。
普段の診察で睡眠の状態をうかがい、必要に応じて検査を手配し、結果を確認したうえで治療につなげることができます。
なお、病状や検査結果によっては、専門医療機関での追加検査や治療をご案内する場合もあります。
2026年6月の診療報酬改定で、検査の負担が軽くなり、CPAP治療の保険適用対象も広がりました
2026年6月の診療報酬改定では、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療に関する制度が見直されました。
① 在宅PSG検査の費用負担が軽くなりました
患者さんご自身で検査機器を装着する方法などに対応した、新たな在宅PSG検査の区分が設けられ、検査料は2,000点となりました。
従来の3,570点の区分と比較すると、3割負担の方の場合、検査料部分の自己負担額は約10,700円から6,000円となり、約4,700円、44%の軽減に相当します。
※検査方法によって適用される区分は異なります。また、診察料などは別途かかります。
② CPAP治療の保険適用対象が広がりました
CPAP治療を保険診療で開始できる基準が緩和されました。
具体的には、AHI(無呼吸低呼吸指数)の基準が、次のように見直されました。
- ・簡易検査:40以上 → 30以上
- ・PSG検査:20以上 → 15以上
AHIとは、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起こるかを表す指標です。
この改定によって、これまでは保険適用の基準に届かなかった方でも、CPAP治療を保険診療で受けられる可能性が広がりました。
なお、実際の保険適用はAHIの数値だけで決まるものではなく、自覚症状や検査所見など、所定の条件を踏まえて判断されます。
③ CPAP治療の費用
CPAP治療を保険診療で行う場合、3割負担の方では、診察料などを含めて月あたり数千円程度が一つの目安です。
実際の負担額は、診療内容や受診間隔、算定される加算などによって異なります。
25年以上、睡眠時無呼吸の診療に関わってきました
私は、神経内科に携わっていた頃から、25年以上にわたり、何らかの形で睡眠時無呼吸症候群の診療に関わり続けてきました。
その中で、睡眠の質が整うことで、日中のコンディションや気分、生活の質が大きく改善する患者さんを数多く診てきました。
精神科・心療内科の診療においても、睡眠の質を整えることは、こころの回復を支える大切な土台だと考えています。
そのためには、睡眠習慣の見直しや薬物療法だけでなく、睡眠を妨げている身体的な原因を見逃さず、必要な検査や治療につなげることが重要です。
気になる方は、診察でご相談ください
「ひょっとして睡眠時無呼吸症候群なのではないか」「いびきがひどいと言われる」「十分に眠っているはずなのに、疲れが取れない」。
そのような心配をお持ちの方は、どうぞ診察の際にご相談ください。
ご家族から、いびきや睡眠中の呼吸の停止を指摘された方も、ぜひお知らせください。
睡眠の質を改善するために、できることを一緒に考えていきましょう。