うつ状態・適応障害で休職したら 休職中の過ごし方と復職までの
6つの段階【精神科医解説】

ストレスをきっかけにうつ状態や適応障害と判断され、休職を始めた方、あるいはこれから休職しようとしている方の中には、「休職したら、その後はどうなるのだろう」「どのように過ごせばよいのだろう」「いつ頃から復職を考えればよいのだろう」と、不安に感じている方も多いと思います。

そこでこの記事では、筆者が日々の診療の中で繰り返しお伝えしていることを、休職の時期(フェーズ)ごとにまとめました。休職から復職までのおおまかな流れと、それぞれの時期に大切にしたいことを知り、自分が今どの段階にいるのかを確認することで、見通しが立てやすくなり、不安を和らげる助けになればと考えています。

この記事の要点

  • 休職中の回復は、おおむね「神経を休める」→「生活リズムを整える」→「振り返りと生活の組み立て直し」→「復職の準備と評価」→「復職後の定着」という流れで進んでいきます。
  • 回復は一直線ではなく、波がありながら月単位で良くなっていくのが堅実な回復のパターンです。日々の調子に一喜一憂せず、月単位で振り返ります。
  • 復職の判断は「気分がよくなったか」だけでは決まりません。生活リズム、通勤できる体力、活動後の疲労が回復するペースなどを、一定期間の記録で確認します。
  • 「元に戻ること」だけがゴールではありません。休職をきっかけに、ご自身にとって「よくなること」とはどういうことなのかを振り返ってみることも大切です。
  • 2026年2月には国の「治療と就業の両立支援指針」が告示され、同年4月からは、治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務になりました。メンタルヘルス不調も含めて、治療を続けながら働くための職場の支援が制度として整ってきています。

この記事でわかること

今のご自身に近い段階からお読みいただけます。

よくある質問|休職中・治療中に使えるお金の制度、旅行、転職、両立支援について

この記事の対象となる方

この記事は、主に仕事や職場のストレスをきっかけに、うつ状態や適応障害と判断され、休職を始めた(または始めようとしている)方を想定して書いています。ご家族や、職場の上司・人事担当の方にも参考にしていただけます。

一方で、双極性障害、統合失調症、発達特性が大きく関係している場合、身体疾患が背景にある場合などは、回復の経過や必要な配慮が異なることがあります。ここに書いたことは一般的な目安ですので、具体的な判断は必ず主治医と相談してください。

つらさが強いときは、すぐに相談してください

「死にたい」「消えてしまいたい」という気持ちが強いとき、自分を傷つけたくなるときは、次の予約を待たずに主治医に連絡するか、受診してください。夜間・休日などで連絡がつかない場合は、「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)などの相談窓口も利用できます。命の危険が差し迫っているときは、119番に連絡してください。

休職から復職までの全体像

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(以下「職場復帰支援の手引き」)では、職場復帰支援を「休業開始と休業中のケア」「主治医による職場復帰可能の判断」「職場復帰の可否判断と職場復帰支援プランの作成」「最終的な職場復帰の決定」「職場復帰後のフォローアップ」という5つのステップで整理しています。

これは主に会社側の手続きの流れです。当院では、これに患者さんご自身の内側で起きる回復の流れを重ねて、次の6つの段階に分けてお話ししています。

段階 時期の目安 この時期のテーマ 職場の手続き(手引きのステップ)
第0段階 休職前 休職するかどうかを判断する ―
第1段階 休職開始〜数週間 休まらない神経を休める ステップ1:休業開始・休業中のケア
第2段階 休職初期〜中盤 生活リズムを整え、意識を外に開く ステップ1:休業中のケア
第3段階 休職中盤〜後半 振り返りと、回復しやすい生活の組み立て ステップ1(リワーク等の活用)
第4段階 復職前 職場復帰の準備性を確かめ、職場とすり合わせる ステップ2〜4:復職可能の判断・可否判断・決定
第5段階 復職後〜数年 心身のゆとりを減らさず、再び積み上げる ステップ5:フォローアップ

期間はあくまで目安です。段階は行きつ戻りつすることもあり、それ自体は失敗ではありません。

第0段階:休職する前に|休むかどうかをどう判断するか

●休職の判断は人によって大きく異なる

休職するかどうかの判断には、かなり個人差があります。ごく軽い不調の段階で「休みたいので診断書がほしい」と希望される方もいれば、明らかに限界を超えているのに休もうとせず、身を削り続けてしまう方もいます。

どちらの場合も、いったん立ち止まって考えていただきたいのは、「休職」か「このまま働き続ける」かの二択ではないということです。

●休職以外の選択肢も検討する

状態や職場の状況によっては、次のような方法で回復できることもあります。

  • 業務量や担当業務の調整
  • 1週間程度だけ休む
  • 時短勤務
  • 週の半ば(例:水曜日)を休みにして、連続勤務を減らす

厚生労働省の「メンタルヘルス不調者の主治医向け支援マニュアル」(2025年3月、以下「主治医向け支援マニュアル」)でも、勤務先から適切な配慮が提供されることで、休職や離職を一定程度回避できると述べられています。休職に至らない段階から就業継続を支援することが、不調の長期化を防ぐうえで重要とされています。

逆に、睡眠や食事など生活の基本が大きく崩れる、強い精神症状や身体症状が続く、遅刻、欠勤、ミスが重なるなど業務に大きな支障をきたす、といったことが悪循環を形成してしまっているようであれば、しっかり休職して治療に専念した方がよい場合が多いです。

●判断の鍵は「合理的な対策を実行できるか」と「信頼関係」

休職するか、また後に復職するか、など様々な意思決定において、次の2点がとても重要です。

1.関わる人たちに、合理的な対策を立て、実行する意思と能力(そして資源)があるか。

ご本人、上司、職場の関係者、ご家族などが、不調に対して現実的な手を打てるかどうかです。

2.関わる人同士に信頼関係があるか。

ご本人と職場の間、職場の関係者同士の間に、お互いの事情を理解し、一緒に解決策を考えられる関係があるかどうかです。

たとえば、業務調整の約束があっても実際には実行されない職場や、相談するほど状況が悪くなる関係の中では、「働きながら治す」ことは難しくなります。反対に、この2点がある程度そろっていれば、休職以外の方法で乗り切れることもあります。

●休職が必要な場合の診断書について

診察の結果、休職して治療に専念することが適切であると医師が判断した場合には、初診の方も含め、休職診断書を受診当日に発行しています。

なお、休職が必要かどうかは、症状の程度だけでなく、仕事への影響、勤務状況、職場で可能な配慮なども踏まえて総合的に判断します。

●第0段階のTODOリスト

  • 睡眠・食欲・気分・集中力の変化を、ここ1〜2か月でふり返る
  • 主治医に、休職以外の選択肢(業務調整・短期休養・時短など)も含めて相談する
  • 職場で相談できる人(上司・人事・産業医・保健師)を確認する
  • 就業規則で、休職制度・休職できる最長期間・給与の扱いを確認する
  • 休職する場合は、仕事の引き継ぎに関わる負荷が少なくすむようにする

第1段階:休職開始〜数週間|休まらない神経を休める

●この時期、内側ではこんなことが起きているかもしれません

休職を始めたばかりの頃、多くの方が「休んでいるのに休まらない」という感覚を経験します。

  • 仕事のことが頭から離れず、メールやチャットの通知を想像して落ち着かない
  • 仕事の夢を見て、目が覚めても疲れている
  • 「みんなが働いているのに自分だけ休んでいる」という罪悪感がある
  • 何かしていないと不安で、休むことに焦りを感じる
  • 「このまま戻れなかったらどうしよう」と先のことばかり考えてしまう

これらは、ストレス状態が長く続いたことで、神経が容易には休まらなくなってしまっているサインです。

●目標は「仕事のことが頭から離れない状態」から抜け出すこと

この時期の過ごし方のポイントは、「考えすぎないこと」「考えが浮かんでも、それにとらわれ続けずにいられること」です。簡単ではありませんが、次のようなイメージや行動が役に立つことがあります。

  • 仕事のことは一度すべて忘れる。頭から「蒸発」させる
  • 日本語を忘れる、数字を忘れる。「文字以前」に戻る
  • 人間に戻る。頭の中の考えではなく、体の声に耳を傾ける
  • おいしいものを食べる、良い香りを嗅ぐ、日光浴する、マッサージを受けるなど、体が感じる心地よい感覚にフォーカスし、「自分」の感覚を取り戻す

これらは、実行しなければならない義務ではありません。つらい考えから意識を離すためのヒントとして参考にしてください。

●脳という臓器を、少しだけ疑ってみる

ストレスで疲れきった脳は、同じ心配ごとを何度も繰り返し再生します(思考の反芻)。浮かんでくる考えは「事実」ではなく、疲れた臓器が出している信号にすぎないことがあります。考えを無理に消そうとするのではなく、「また浮かんできたな」と気づいて、引きずらないことを練習します。

「考えすぎない技術」が身につくと、今後の長い人生で、自分を効果的に回復させるためにとても役立ちます。

●自分をアスリートだと思ってみる

休むことに罪悪感を持つ方には、「ご自分をアスリートだと思ってください」とお話しすることがあります。アスリートにとって、上手に休んでコンディションを整えることは、パフォーマンスを発揮するための大切なプロセスです。けがをしているのに試合に出ようとすれば、コーチから止められます。

また、「もし大切な友人が同じ状態だったら、どんな言葉をかけますか?」と問いかけると、はっと我に返る方もいます。友人には「今はしっかり休んで」と言えるのに、自分には厳しくしてしまう方も多いのです。

●職場の手続きで知っておきたいこと

職場復帰支援の手引きでは、休職開始時に会社が、傷病手当金などの経済的な保障、不安や悩みの相談先、公的・民間の職場復帰支援サービス、休職できる最長期間などを本人に情報提供することが望ましいとされています。お金や期限の不安は回復を妨げますので、わからないことは人事担当に確認しておきましょう(体調的に難しければ、ご家族に手伝ってもらっても構いません)。

●第1段階のTODOリスト

  • 休職に必要な書類(休職届、診断書など)を提出する
  • 傷病手当金の申請方法と、休職できる最長期間を確認する
  • 職場との連絡方法・連絡先・頻度を決めておく
  • 仕事用のメールやチャットの通知をオフにする(会社のルールの範囲で)
  • 必要な睡眠を十分にとる(ただし昼夜逆転は避ける)
  • 服薬や通院は主治医の指示どおりに続ける
  • 「何もしないこと」を自分に許す

第2段階:休職初期〜中盤|生活リズムを整え、意識を外に開く

●この時期、内側ではこんなことが起きているかもしれません

少しずつ眠れるようになり、食事がとれるようになってくると、今度は次のような感覚が出てくるかもしれません。

  • 調子のよい日と悪い日の差が大きく、調子の悪い日に思い浮かぶことに振り回される
  • 起きる時間がだんだん遅くなり、夜なかなか眠れない
  • 家にこもっていると、ぼんやりして嫌なことばかり思い浮かぶ
  • 少し元気が出ると、今度は復職のことが気になって焦る

●まず目指すのは「日常生活を送る分には支障のない状態」

いきなり仕事ができる状態を目指す必要はありません。この時期の目標は、日常生活を送る分には支障のない状態です。主治医向け支援マニュアルでも、日常生活が問題なく送れる、家事ができる、新聞やテレビの内容が理解できるといった、症状や認知機能の回復が不十分なまま早く復職すると、再発のリスクが高まると指摘されています。

●十分な睡眠を。ただし昼夜逆転はしない

特に休職当初は、必要な睡眠を十分とってください。ただし、昼夜逆転はしないことをお勧めしています。

自宅にこもりがちになると、起きる時間と寝る時間が少しずつ後ろにずれていく方が少なくありません。午後に起きるようになると、そのこと自体が夜の寝つきを悪くし、さらに起きる時間が遅くなるという悪循環に入ります。少なくとも午前中には起きることを目安にしてください。

●朝散歩のすすめ

可能であれば、朝散歩をお勧めします。

  • 朝に光を浴びると昼間の覚醒度が上がり、「昼は起きて夜は眠る」というメリハリがつきやすくなります。
  • 特に起きてから最初の1時間のうちにしっかり光を浴びると、睡眠と覚醒のリズムが前倒しになり、早寝早起きがしやすくなります。
  • 睡眠の質の改善や、気分の改善にも役立ちます。

十分に眠り、休息することは大切です。しかし家にこもりきりで光を浴びる機会が少ないと、昼間もぼんやりして気分が晴れず、嫌なことばかり思い浮かんで悪循環になることがあります。

●「意識を外に開いていく」

体調が許せば、少しずつ外出し、意識を外に開いていくことをお勧めします。近所を歩く、季節の変化を感じる、本屋や公園に行く、といった小さなことで十分です。頭の中の考えから、外の世界へと注意が向く時間を増やしていきます。

●活動量は「少しずつ」。何もしない力も身につける

活動量を増やすときは、少しずつにしてください。調子のよい日にやりすぎて、翌日寝込んでしまうというのはよくあるパターンです。

また、何かしていないと落ち着かない方もいますが、何もせず、何も考えず、のんびり、まったりしていることもできるようになると、とても強い武器になります。何もしない時間を楽しみ、味わって上手に心身を休ませることもできるし、十分に回復した後は集中してパフォーマンスを発揮することもできる。その幅をうまく使えるようになることが理想です。

●回復は一直線には進まないことが多い

多くの方において、回復は、一直線には進まず、波がありながらも月単位で改善していくという経過をたどります。これ自体は堅実な回復のパターンです。昨日と今日を比べて一喜一憂するのではなく、先月と今月を比べるようにしてください。

職場復帰支援の手引きでも、うつ病などでは回復の過程でも状態に波があることが明記されています。

●「どれくらいで良くなりますか?」への答え

この質問はとてもよくいただきます。回復の過程は、病状をはじめ個別の要因が大きく、一概には言えません。長い時間をかけても以前のようなパフォーマンスが戻りにくい方もいます。

実際的な答えとしては、「月単位の経過を振り返りながら、その都度、その後の見通しを立てていきましょう」ということになります。

●休職中の職場との連絡は「月1回程度」が目安

休職中の職場との連絡はケースバイケースですが、一つの目安として月1回程度は連絡を取っておくことをお勧めしています。

この連絡を苦痛に感じる方は少なくありません。それでも、職場に経過と今後の見通しを伝えておくことは大切です。まったく連絡を取らないでいると、休職期間の満了の期限を知らず、いわゆる自然退職を迎えてしまうなど、思わぬ不利益が生じることもあります。復職後の見通しをつけやすくするためにも、定期的な連絡をお勧めします。

2026年告示の「治療と就業の両立支援指針」でも、休業中は事業主があらかじめ決めた方法で労働者と連絡を取り、経過や今後の見込みを確認すること、不安や悩みを相談できる窓口を明確にすることが重要とされています。連絡がつらいときは、メールなど負担の少ない方法を職場と相談したり、ご家族に伝言をお願いしたりしても構いません。

●第2段階のTODOリスト

  • 起床時間を「午前中」に固定する
  • 起床後1時間以内に、外の光を浴びる(朝散歩など)
  • 1日1回は、短時間でも外に出る
  • 睡眠・気分・活動を簡単に記録し、月単位で振り返る
  • 調子のよい日も、活動しすぎない
  • 職場に月1回程度、経過と見通しを連絡する
  • 休職期間の満了日を確認し、カレンダーに書いておく

第3段階:休職中盤〜後半|振り返りと、回復しやすい生活を組み立てる

●この時期、内側ではこんなことが起きているかもしれません

日常生活がある程度送れるようになると、次のような心の動きが出てくるかもしれません。

  • 何が起きたのか、なぜこうなったのかを改めて考え始める
  • 職場や特定の人への怒り、理不尽さへの悔しさが湧いてくる
  • 起きたことに対して、別の角度から振り返り始める
  • 元の職場に戻るべきか、別の道を探すべきか迷う

これらは、「語り直し」のプロセスに入りつつあるサインと見ることもできるかもしれません。

●振り返りを始める

この時期のテーマは、振り返りを始めることと、ご自身にとってのゴールを考え始めることです。

振り返りでは、例えば次のような問いを考えてみるとよいでしょう。

  • どんな状況で、どのように不調が進んでいったか
  • 無理がかかってきたとき、最初にどんなサインが出ていたか
  • もし同じことが起きたと仮定したら、どうするか
  • 自分にとって重要なことの優先順位はどうなっているか
  • 優先順位が高くないのに、とても消耗してしまっていたことは何か

ご自身にとってのゴールは何か、ということも考えてみてください。人生の究極のゴールでもよいし、キャリア上のゴール、短期的な仮のゴールでも構いません。ゴールを定め、注力すべきことの優先順位がつけやすくなることがポイントです。ただし、あえてゴールを定めずにいる方がよい場合もあるでしょう。

●一人では進まない場合はリワークを検討する

振り返りは、一人ではなかなか進まないことがあります。そのような場合は、リワーク(復職支援プログラム)への参加を検討してみてください。

リワークとは、休職中の方が通所し、生活リズムの安定、ストレスへの対処法の学習、集団でのプログラム、復職に向けた準備などに取り組むプログラムです。医療機関が行うもののほか、各都道府県の地域障害者職業センターによる「職場復帰支援(リワーク支援)」などがあります。職場復帰支援の手引きでも、リワーク支援を経て復職した事例が紹介されており、決まった場所に通うことで生活リズムが整ったこと、同じように休職している人と話せたこと、不調に至った経緯を理解できたことが良い結果につながったとされています。

●長く休めば休むほどよい、というわけではない

ケースバイケースではありますが、長く休めば休むほどよいというものではありません。海外の研究では、休職期間が長くなるほど復職が難しくなる傾向(Ervasti et al., 2017)や、仕事から長く離れることが心身の健康にとって必ずしも良くないこと(Waddell & Burton, 2006)が報告されています。

これは、回復に必要な休養を切り詰めて早く復職した方がよい、という意味ではありません。しかし、十分な休養が必要な時期を過ぎたら、少しずつ社会とのつながりを取り戻していくことも大切です。

●再発予防のために、日々の回復を生活に組み込む

再発を防ぐためには、自分の回復に役立つことを、日々の生活の中に無理なく組み込んでいくことが大切です。休職期間の中盤から後半は、そのための活動や習慣を少しずつ探していく時期でもあります。

目指したいのは、できるだけ省エネで、回復力の高い生活のルーティンをつくることです。

1日の中で、あるいは1週間の中で、疲れをためる一方になっていないか。きちんと疲れを取り、心身を回復させる時間が確保できているか。活動と休息のバランスを、あらためて見直してみましょう。

「外出できるようになってきましたが、何をすればいいのでしょうか」と質問を受けることもよくあります。

回復に役立つ活動は、人によってさまざまです。運動が合う人もいれば、散歩、読書、趣味、人との交流、自然の中で過ごすこと、ひとりで静かに過ごすことが助けになる人もいます。筆者自身は、自転車通勤や行きつけのお店をつくることに、ずいぶん助けられてきました。

この時期は、体調をみながら、少しずつ外出時間や活動時間を延ばしていってよい時期です。ただし、単に「活動量を増やす」ことが目的ではありません。

自分にとって何をすると調子が整うのか。何をすると疲れが抜けるのか。そして、それを無理なく日常生活の中に続けていけるか。

外出をそうした、自分なりの「回復の方法」を探す機会にしてみてはいかがでしょうか。休職中に見つけた回復の習慣は、復職後の生活を支え、再発を防ぐための大切な土台になります。

●「自分にとっての回復(リカバリー)」を考える

この時期にぜひ考えてみていただきたいことがあります。それは、「自分にとっての回復とは、どのようなことだろうか」という、個人的な回復(リカバリー)のイメージです。

回復することは、必ずしも元の職場に以前と同じように適応するだけを意味するわけではありません。できることなら、得意なことや長所が生き、苦手なことが問われすぎないような「生きる場所」を、世界のどこかに見つけること。あるいは、自分でそのような場所を少しずつ作っていくこと。そうしたことも、回復の一つのかたちです。

●起きたことの意味を考える

この時期は、自分に起きたことをどのように受け止めるかを考え始める時期でもあります。

起きたことは、つらく、過酷で、残念で、理不尽なものであったかもしれません。「本来、こんなことは起きるべきではなかった」と感じることもあるでしょう。

一方で、それもまた現実の世界(リアルワールド)の一面です。

「そのようなことが起こることもある世界」と、これからどのように向き合っていくのか。あるいはどのように距離を取っていくのか。そして、自分にとって一生替えのきかない体をどう守りながら生きていくのかを考えていくことが、その後の歩みにとって、大切な糧になる場合があります。

もちろん、起きたことすべてに意味を見いだしたり、無理に「よい経験だった」と捉え直したりする必要はありません。しかし、いつか自分なりの言葉でその経験を捉え直し、自分の人生の一部として「語り直せるようになること」も、当院が大切にしている回復のあり方の一つです。

コラム:「早く元に戻りたい」という気持ちについて

「早く元に戻りたい」とおっしゃる方はとても多くいらっしゃいます。1日も早く不調を脱し、コンディションを整えて、「こんなふうに過ごしたい」と思える毎日を取り戻したい。それは切実な願いです。

しかし、焦りは禁物です。回復は、植物を育てることに似ています。育て育てと強く念じるからといって早く育つというものではなく、植物のペースに合わせてじっと待つことが必要です。枝葉を急いで大きくして見栄えを良くするのではなく、幹を太くすること、骨太な回復を果たすことが大切です。休職期間は、そのための長期的な、復職後も続く取り組みを始める大切な時期でもあるのです。

一方で、「回復」のかたちは人によってさまざまです。

筆者は診療にあたる中で、こんなことを考えることがあります。

「できることなら、たとえコンディションが完全に元通りにならなかったとしても、それでも何らかの意味で、その人自身が『以前よりも良くなった』と思えるような何かが見つかればよいな」

たとえば、次のような変化です。

  • つらい状況にいる人、不調を抱えた人に、以前より適切に関われるようになる
  • 自分自身を整えるセルフケアの技術が上がる
  • 無理がかかってきたときのサインに、早めに気づけるようになる
  • 自分にとってとても大切なことと、そうでもないことを、以前より区別できるようになる
  • 症状があっても、それによる生活への影響をコントロールできるようになる

不調になる前とまったく同じ自分に戻ることだけが、回復ではありません。

経験したことを通して、自分自身の扱い方を少しよく知り、自分にとって大切なものが少し明確になり、これからの生き方や働き方を以前より意識的に選べるようになる。

そのような変化もまた、回復の大切な一部なのではないかと思います。

●第3段階のTODOリスト

  • 不調に至った経過と、最初に出ていたサインを書き出す
  • 「同じことが起きたらどうするか」を考えてみる
  • 自分にとって大切なことの優先順位をつける
  • 消耗するのに優先度の低いことがあれば、手放す候補にする
  • 回復に役立つ活動を試し、生活に取り入れられるものを探す
  • 「自分にとっての回復(リカバリー)」のイメージを言葉にしてみる
  • 一人ではなかなか進まないようであれば、主治医にリワークの利用を相談する

第4段階:復職前|職場復帰の準備ができているかを確かめる

●この時期、内側ではこんなことが起きているかもしれません

  • 気分がよくなると、早く復職したくなる
  • 一方で、仕事に戻ったらどうなるか、無事に仕事ができるか、強いストレスを受けないかと不安になる
  • 休職期間の満了が近づき、焦りが強くなる

「気分がよくなった」「生活する分には支障はなくなった」ことと、「安定して働き続けられる状態になった」ことは、必ずしも同じではありません。この時期は、その違いを確認しながら、実際の職場復帰に向けた準備を進めていく段階です。

外出についても、これまでより少しずつ時間を延ばし、仕事に近い要素を取り入れていくとよいでしょう。

たとえば、図書館やカフェで一定時間、読書やPC作業をしてみる。あるいは、通勤時間帯に職場の近くまで出かけ、近くのカフェなどでしばらく過ごしてから帰宅してみる、といった方法があります。

こうした「模擬的な仕事・通勤」を試してみることで、今の自分がどの程度の活動に耐えられるのかを具体的に確認できます。また、実際の復職場面を少しずつ経験しておくことは、復職後への不安を和らげることにもつながります。

一方で、実際に試してみると、職場に近づくにつれて気分が悪くなったり、通勤を再現しただけでも思った以上に疲れたりすることがあります。

それも、現在の回復の程度を知るための大切な情報です。無理に「できるようにならなければ」と考えるのではなく、どこまでなら安定してできるのか、何をすると負担が大きくなるのかを確かめながら、復職の準備を進めていきます。

●主治医の判断と、職場が求める力は違うことがある

職場復帰支援の手引きでは、主治医による復職可能の判断は、日常生活での病状の回復程度をもとにしていることが多く、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとは限らないと指摘されています。そのため会社では、主治医の意見に加えて、産業医などが業務の内容と照らし合わせて検討し、最終的には会社が復職を決定します。

こうした仕組みがあるからこそ、主治医としても、実際の生活の記録にもとづいて、責任を持って医学的見解を示すことが大切だと考えています。

●職場復帰準備性の評価:生活行動記録表を使う

当院では、生活行動記録表に毎日の起床・就寝時間、外出時間、活動の内容、疲労度などを記録していただき、復職の準備が整っているかを一緒に確認します。

筆者は、フルタイムでの復職を想定する場合の実務上の目安の一つとして、次のように考えています。

  • 段階的に活動時間を延ばし、1日9時間程度・週5日の「外出しての活動」を安定して続けられること(9時間は、勤務時間に休憩などを加えた、実際の勤務日に近い外出時間の目安です)
  • それを、復職可能の診断を出す前の一定期間、確認できること(休職期間の長さに応じて、例えば休職2か月なら2週間、3か月なら3週間程度など)

これは個別に総合的に判断するもので、仕事の内容や復職時の配慮によって調整します。短時間勤務で復職する方や、段階的な復帰が可能な職場では、別の目安が適切な場合もあります。

職場復帰支援の手引きでも、判断基準の例として、次のような点が挙げられています。

  • 職場復帰に対して十分な意欲がある
  • 通勤時間帯に一人で安全に通勤できる
  • 決まった勤務日・勤務時間に継続して就労できる
  • 業務に必要な作業(読書やパソコン作業、軽い運動など)ができる
  • 作業による疲労が翌日までに十分回復する
  • 睡眠と覚醒のリズムが整っていて、昼間に眠気がない
  • 業務に必要な注意力・集中力が回復している

●100%でなくても、復職や社会参加を検討してよい

一方で、100%の状態にならなければ復職できない、というわけではありません。安定して外出・通所ができ、軽作業が可能になった段階で、復職や、何らかの社会参加をいったん検討してみるとよいでしょう。残りの回復は、働きながら、職場の配慮を受けながら進めていくことも多いのです。

●職場に確認しておきたいこと

復職の準備として、次のことを職場に確認しておきましょう。職場によってかなりの違いがあります。

1.復職時点で求められる要件
  • 会社に「リハビリ出勤」や「試し出勤」制度はあるか。ある場合、休職中に行うのか
  • 復職後は軽い負荷から始め、段階的に負荷を上げていけるのか
  • それとも、復職した時点で通常のパフォーマンスが求められるのか

職場復帰支援の手引きでは、試し出勤制度等の例として、勤務時間と同じ時間帯に図書館などで過ごす「模擬出勤」、通勤経路で職場の近くまで移動する「通勤訓練」、実際の職場に試験的に出勤する「試し出勤」が紹介されています。

2.再発防止のために、自分にできること・職場にできること

ご自身と職場の双方で、合理的な対策を検討し、すり合わせておけることが望ましいです。

3.復職診断書が、復職のどのくらい前に必要か

職場側の調整には様々な手続きが必要なことが多く、産業医面談の日程も限られていることがよくあります。短くて2週間前、長いと2か月前に診断書の提出を求められることもあります。早めに確認しておきましょう。

●復職診断書の作成についての当院の方針

こうした準備がないまま、突然「来週から戻りたいので診断書を書いてほしい」と希望される方がいます。しかし、復職してよい状態かどうかの判断は、医師として責任を持って医学的見解を示すものです。当院では、上記のような適切な評価のプロセスを経ずに復職可能の診断書を作成することはお引き受けしていません。ご理解をお願いいたします。

●配慮が「多すぎる」こともストレスになる

意外に思われるかもしれませんが、復職後、同僚と比べて過度に負荷が軽減されていると、かえってストレスになることがあります。周りが忙しくしている中で「何もせず、ここに座っていればいいから」と言われても、居心地の悪さや申し訳なさを感じてしまうのです。

職場復帰支援の手引きでも、同僚と比べて過度に業務が軽減されることが逆にストレスを高めることがあると指摘されています。また、短時間勤務にする場合は、生活リズムを保つ観点から、始業時間を遅らせるよりも終業時間を早める方が望ましいとされています。どの程度の配慮が自分に合うか、上司などと適宜相談してください。

●第4段階のTODOリスト

  • 生活行動記録表をつけ、主治医と一緒に確認する
  • 活動時間を段階的に延ばし、通勤時間帯の外出を練習する
  • 会社の試し出勤・リハビリ出勤制度の有無と内容を確認する
  • 復職時点で求められる勤務時間・業務レベルを確認する
  • 復職診断書の提出期限(何週間前か)を確認する
  • 産業医面談の日程を早めに調整する
  • 再発防止のために「自分ができること」「職場として取ることができる対策」を整理する

第5段階:復職後|心身のゆとりを減らさず、もう一度積み上げる

●この時期、内側ではこんなことが起きているかもしれません

  • ついつい頑張ってしまい、帰宅後に強い疲れを感じる
  • 最初の数週間は意外と大丈夫だと感じるが、3〜4週間ほどたった頃、急に疲れがどっと出て朝起きられなくなる
  • 自分で期待していたほど仕事ができず、自信をなくす
  • 配慮を受けていることに、負い目を感じる

主治医向け支援マニュアルでも、復職後に「思っていたほど仕事ができない」ことによる落ち込みや、疲れやすさ、長く配慮を受けることへの申し訳なさが、メンタルヘルス上の留意点として挙げられています。

●最初の1か月はとても大切

復職後の最初の1か月は、とても大切な時期です。

通勤の再開、環境の変化、職場への再適応に伴うプレッシャーなどから、復職直後はついアクセルを踏みすぎてしまいがちです。しかし、そこで無理をすると、休職期間を通じて少しずつ培ってきた心身のゆとりが、早い段階で底をついてしまうおそれがあります。

実際、復職後3〜4週間ほどたった頃に、それまで緊張感によって覆い隠されていた疲れが一気に表に出て、朝起きられなくなったり、急に調子を崩したりする方もいます。

もう一つ注意したいのが、復職直後の人に、どの程度のパフォーマンスを期待するかという点です。

上司、同僚、人事担当者などによって、その期待の程度には意外と大きなばらつきがあります。その違いに戸惑い、知らず知らずのうちに疲れてしまう方も少なくありません。また、周囲からの期待以上に、自分自身への期待が自分を苦しめてしまうこともあります。

この時期は、「今の自分は、どこまでできれば十分なのか」という、自分なりの“OKの基準”を持っておくことが有益です。

たとえば、自分を復帰途上のアスリートにたとえてみるのも一つの考え方です。けがから復帰するアスリートは、いきなり以前と同じパフォーマンスを求められるわけではありません。その時期に合ったリハビリやトレーニングのメニューを着実にこなしているのであれば、それは「今やるべきことを、きちんとやっている」状態です。

復職直後、以前と同じように働けているかどうかだけで自分を評価するのではなく、今の回復段階に合った働き方を続けられているなら、それで十分にOKだと考えてみてください。

そして、できればこの「OKの基準」については、上司や人事担当者など、復職に関わる職場の主要な関係者とも認識をすり合わせておくことが望ましいでしょう。本人は「今はこれで十分」と考えていても、周囲がまったく異なる期待を持っていれば、そのこと自体が心理的な負担になり得ます。復職直後に何を目指すのか、どの程度の仕事ができれば十分なのかを、現実的な範囲で共有しておくことを検討してみてください。

たとえ休職前と同じストレスを受けるわけではなくても、休職中に培ってきた心身のゆとりは、復職当初にはいったん目減りするものと考えておいたほうがよいでしょう。

意識したいのは、そのゆとりを使い切らないようにすることだけではありません。復職後の生活の中でもしっかり回復できる仕組みをつくり、1か月ほどかけて、再び「右肩上がり」に心身のゆとりを積み上げていけるような生活のルーティンを整えていくことです。

●人力飛行機のイメージ

復職後の経過は、人力飛行機に例えるとわかりやすいかもしれません。飛び出した直後は一度高度が下がります。そこで何とかおなかをこすらないように持ちこたえながら、少しずつ高度を上げていく。そんなイメージです。

最初に高度が下がるのは失敗ではなく、自然なことです。下がりすぎないよう、仕事を含めた生活のペースを丁寧に調整してください。

●注意したい節目:1か月・3か月・6か月・1年・3年

これは医学的に定められた節目というわけではありませんが、筆者は臨床家としての実感から、復職後の経過を振り返る節目として、復職後1か月、3か月、6か月、1年、3年という時期をよくご紹介しています。

復職後は、知らず知らずのうちに仕事の負担が増え、疲労が蓄積してしまうことがあります。これらの節目には、いったん立ち止まり、心身のコンディションや仕事と生活のあり方を振り返ってみてください。

車のギアを切り替えるように、その時々の状態に応じて、仕事や生活のペースを意識的に調整することをお勧めしています。

●通院と治療は続ける

復職後に通院ができなくなったり、休職中の遅れを取り戻そうと無理をしたりして、再び体調を崩すことは少なくありません。職場復帰支援の手引きでも、復職後は治療状況の確認や、再燃・再発の早期発見が重要とされています。調子がよくても、自己判断で通院や服薬をやめないことが大切です。

●第5段階のTODOリスト

  • 復職後1か月は「アクセルを踏みすぎない」と決めておく
  • 休職中に見つけた回復の習慣(朝散歩など)を続ける
  • 通院と服薬を自己判断で中断しない
  • 疲れのサイン(寝つき、朝の起きづらさ、ミスの増加など)を記録する
  • 上司・産業医との定期面談で、配慮の内容を見直す
  • 1か月・3か月・6か月・1年・3年の節目をカレンダーに入れる

まとめ|休職は「元に戻る」ためだけの期間ではない

休職から復職までの道のりは、神経を休める時期、生活リズムを整える時期、振り返りと生活を組み立て直す時期、復職の準備を確かめる時期、そして復職後に再びゆとりを積み上げる時期と、段階を追って進みます。回復は一直線ではなく、波がありながら月単位で進んでいきます。

休職期間は、ただ元の状態に戻るのを待つ時間ではありません。上手に休む力、無理のサインに早めに気づく力、自分にとって大切なことを見分ける力を育てる時間でもあります。当院は、休職が「元よりも良くなる機会」になるよう、一人ひとりの回復のペースに合わせてサポートしています。

よくある質問(FAQ)

Q.休職中・治療中のお金の制度には、どのようなものがありますか?

傷病手当金

健康保険の被保険者が、業務外の病気で働けず給与が支払われない場合、 連続3日の待期期間の後から、 支給開始日から通算1年6か月まで、 おおむね給与(標準報酬)の3分の2相当が支給されます。

自立支援医療(精神通院医療)

精神疾患で継続的な通院が必要な場合、 医療費の自己負担が軽減されます。

高額療養費制度

1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合に、 払い戻しが受けられます。

詳しい条件や利用できる制度は、 加入している健康保険やお住まいの市区町村、 勤務先の担当窓口などでご確認ください。

Q.休職中に旅行や趣味を楽しんでもよいのでしょうか?

休職中であるからといって、 旅行や趣味を一律に禁止する必要はありません。 心身の回復に役立つ活動であれば、 適切な範囲で楽しむことが望ましい場合もあります。

また、休職中は、復職後の生活にも取り入れられる活動を 探しておくよい機会です。 日々の回復に役立つこと、 人間らしさや自分らしさを取り戻せることなど、 回復力の高い生活のルーティンづくりにつながる活動を、 今のうちに見つけておくとよいでしょう。 そうした活動は、楽しいものであって構いません。

ただし、休職中の旅行や趣味については、 医学的な観点だけでなく、 勤務先の就業規則や服務規程、 休職の目的なども考える必要があります。

たとえば、強い抑うつや疲労がある休職直後に、 長距離の旅行や予定の詰まった旅行をすることは、 心身への負担が大きすぎるかもしれません。 一方、ある程度回復し、 外出や活動ができるようになった段階で、 無理のない旅行を楽しむことが、 気分転換や回復に役立つ場合もあります。

ただし、旅行ができることと、仕事ができることは、 必ずしも同じではありません。 自分のペースで動ける旅行と、 決められた時間に一定の業務遂行能力を求められる仕事とでは、 必要な力も負荷も異なります。

また、職場の人が休職中の旅行を知った場合に、 どう受け止めるかにも配慮が必要です。 特に公務員など、 服務規律や社会的な説明責任が重視される職場では、 旅行の内容や目的によっては服務上の問題になる可能性があり、 不祥事として報道された事例も確認できます。 ただし、旅行したという事実だけで 一律に問題になるわけではありません。

判断に迷う場合は、主治医に相談するとともに、 必要に応じて職場の担当者に確認してください。

Q.休職中に転職活動をしてもよいのでしょうか?

休職中に、今後の働き方や転職について考えること自体が、 必ずしも問題になるわけではありません。

ただし、休職直後など、 病状が不安定な段階で大きな決断をすることは、 できるだけ避けることをお勧めしています。

一方で、不調の原因が現在の職場環境に強く関係している場合には、 元の職場に戻ることだけを目標にするのではなく、 転職や配置転換なども含めて 検討した方がよい場合もあります。

転職活動を始める際には、 現在の病状や活動による負担について 主治医と相談してください。 また、休職中の転職活動に関する会社の規則や、 傷病手当金の受給要件なども、 必要に応じて確認することが大切です。

退職後も傷病手当金を受け取り続けられるのは、 退職日までに継続して1年以上被保険者であったことなど、 一定の条件を満たす場合に限られます。 退職を考える場合は、 事前に加入している健康保険に確認してください。

Q.治療と仕事の両立支援制度とはどのようなものですか?

2026年2月、厚生労働省は 「治療と就業の両立支援指針」を告示しました。 同年4月からは、 職場における治療と就業の両立支援の取組が、 事業主の努力義務となっています。 対象には、がんなどの身体疾患だけでなく、 うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調も含まれ得ます。 また、指針は雇用形態にかかわらず、 すべての労働者を対象としています。

休職や復職との関係で、 特に押さえておきたいのは次の3点です。

  • 両立支援は、原則として本人の申し出から始まります。 会社に支援や配慮を求める場合は、 まず本人から相談することが出発点になります。
  • 主治医に仕事の内容を伝えることが大切です。 「勤務情報提供書」などの様式を使うと、 主治医が職場の実情を踏まえた 具体的な意見を書きやすくなります。
  • 休職中の連絡や復職の判断も、支援の一部です。 指針では、休職中はあらかじめ決めた方法で連絡を取り合うこと、 復職時には主治医や産業医等の意見、 本人の意向、職場の状況などを踏まえて 判断することが示されています。

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休職中の過ごし方や復職のタイミングに迷ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。

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参考資料

  • 厚生労働省. 「〈治療と仕事の両立支援〉メンタルヘルス不調者の主治医向け支援マニュアル」 令和7年3月.
  • 厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構. 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
  • 厚生労働省. 「治療と就業の両立支援指針」 令和8年2月10日 厚生労働省告示第28号.
  • 厚生労働省. 「治療と仕事の両立支援ナビ」
    治療と仕事の両立支援ナビ

    治療と仕事の両立の支援にあたっての留意事項や準備事項、進め方をご案内するポータルサイトです。

  • Ervasti J, Joensuu M, Pentti J, et al. Prognostic factors for return to work after depression-related work disability: A systematic review and meta-analysis. Journal of Psychiatric Research. 2017;95:28–36.
  • Waddell G, Burton AK. Is Work Good for Your Health and Well-being? London: The Stationery Office; 2006.